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1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74)
竹森 俊平

定価: ¥ 756
販売価格: ¥ 756
人気ランキング: 465位
おすすめ度:

発売日: 2007-10-12
発売元: 朝日新聞社
発送可能時期: 通常2?3日以内に発送
1997年の金融危機についてわかりやすく解説している一冊。
本書は1997年のアジア通貨危機、及び日本では北海道拓殖銀行、山一證券、三洋銀行の倒産等での金融危機で生じた経済的不確実性について特に「ナイトの不確実性」を中心にしてわかりやすく且つ詳細に説明されている。
確かに経済というのは理論的には法則や理論など多々存在するものの、実際の経済は非常に混沌としており何が起こるかわからない。現に昨年末にはこの経済を誰が予想できたのであろうか。もし昨年末の時点での今年の予想では、若干回復する程度の予想であっただろう。しかし、実際は夏にアメリカでサブプライムローンの焦げ付き問題が表面化し、アメリカ経済だけでなく世界全体に飛び火したのは言うまでもない。
私は経済を専門としていないので経済用語はあまりわからないが、著者が言いたい事はそんな私でもわかるように非常に面白く噛み砕いて解説している。特に最新用語(本書では「バジョット・ルール」「質への逃避」「フリーライド」)はとっつきにくいところもあるがここもわかりやすく解説している。経済を学んでいる方々にとっては必読の一冊であろう。
不確実性への対応
アジア通貨危機で生じた不確実性に対して、積極的な対応を取るか、あるいは消極的な対応を取るかにより、現在の日本とアメリカの格差があるということだろうか。
ナイト流の不確実性をキーワードに、アジア通貨危機において、国際金融における流動性の危機、質への逃避などが生じ、新興市場から資金がいっせいに引き揚げることになった様子やアメリカFRBの対応などが克明に描写されていて刺激的であった。
また日本の膨れ上がる国債等の発行残高や、アメリカの膨大な経常赤字についても、悲観的な論調が多い中、著者はこれも一つの不確実性であり、必ずしも絶対悪であると言っていないところが、興味深い。
ニュースではうわべしか把握できないが、さまざまな経済・金融問題について新しい観点を与えてくれると思う。
必読。ただし、危機は常に予想もしない形でやって来る。
97年の東アジア通貨危機を契機とする、世界経済の潮目の変化についての目も覚めるような鮮やかな分析ではある。
ただし著者の総括は要するに、「将来について甘い見通しでやってきたのが、ひとつの危機をきっかけにして『結局のところ、先のことは分からない』という将来に対する不安に取りつかれ、そこで『弱気』に転じる」(p128)という単純なものだ。そしてそれへの対応策も、「中央銀行に与えられた使命は、流動性の危機に対して『最後の貸し手』として流動性をふんだんに市場に供給すること」(p139)となる。
この主張が正しいとして、しかしその実行を妨げる多くの要因がある。例えば著者は94年のメキシコ危機、96年の住専問題に対する米・日の政策の国内的不人気が足枷になったと指摘するが(p68)、これは「国民がバカだから」で済む話ではない。より本質的に、プラトン的な国家運営は不可能だ、ということではないか? 仮に可能だとしても、歴史的検証ではなく事態の渦中でプレイする立場に立った時、「不確実性」を克服するためのシステムの調整は容易ではない。だからこそ著者も、ハイエクに言及しているのだ(p180)。
グリーンスパンがいるって? それは結果論だと、私は思う。「不確実性」を相手にして確実に勝利する方法はない。短期的には勝つこともあろうが、長期的には必ず敗北する。それがナイトの直感だったのではなかったか。「企業家は社会的な純価値を創造するよりも破壊する傾向がある」(p90)。著者自身、「97年以降の危機管理に抜群の成功を収めたのが議長ならば、世界経済の今後の不安材料を作り出したのも議長」(p175)と述べている。
それでも著者は、「強気」に与する。凹んでいる人々に発破をかける意味では、それもいいだろう。しかし「『バブルか、バブルでないか』は所詮、『ナイトの不確実性』だ。それを判断する客観的な根拠などありえない」(p154)という言葉の躊躇いのなさには抵抗を覚えるし、経済政策の「積極性」がイラク攻撃の「積極性」も連れて来るなら、私としてはやはり遠慮したい気持ちだ。
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