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愛鳥自伝〈上〉 (平凡社ライブラリー)

愛鳥自伝〈上〉 (平凡社ライブラリー)
中西 悟堂
愛鳥自伝〈上〉 (平凡社ライブラリー)
定価: ¥ 1,529
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発売日: 1993-11
発売元: 平凡社
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天衣無縫な人と時代

中西悟堂という人を知っているだろうか? 

日本野鳥の会創始者として、その名に聞き覚えのある人がいちばん多いと思うが、今の日本人からは想像できないほど多面的な存在だ。

まず第一に、虫や野鳥をはじめとする自然を愛する人であり、そのために緻密な自然観察を行なう科学者としての面も持ちあわせている。登山家ではないが、野鳥の生態研究のため、国内の800座を超える山にも登っているという。また、自然保護のためには、政治嫌いにもかかわらず社会運動家としても活動している。

いや、それ以前に、彼はまずアーティストであり、宗教者だ(職業宗教家ではなく)。曹洞宗学林に学ぶが、真摯であるがゆえに僧侶としての道は歩まず、詩人・歌人として活躍し、絵も好んで描き岸田劉生らと親しくしている。

また、少年のころ養父によって滝行に放り込まれ、そのうち滝の水の勢いで体が自然に動くことを発展させ、「自然運動」という無意識的な運動による身体調整法を独自に編み出したりもしている。離れたところのものが見えるなど異能の人でもある。

一方、ふつうの日常生活はからっきしダメで、電球が切れても電気屋を修理に呼ぶしまつ。冬でもパンツ一丁で出歩いたりして、奇人変人?

ちょっと南方熊楠を思わせる。

そんな中西悟堂の書き記す自伝には、名だたる文学者や画家、思想家たちとの交流が描かれ、資料としても興味深いが、なによりも彼自身の人間的魅力にあふれている。

本書は、月刊誌『アニマ』の1973年5月号から1977年9月号まで連載された記事を編集したもので、少し大きめの文庫本サイズだが、上下巻あわせて1000頁近い。著者は1895年生まれだから、連載が終わったときには80歳を超えている。すごいバイタリティーだ。



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